Section 14

計算方法

薬価算定基準の本文は、多くの場面で「別表◯に定める算式により算定される額に改定する」とだけ書いています。 算式そのものは通知の末尾の別表にあり、このページはそれを集めて、記号の意味と式の働きを見ます(趣旨と対象品目は各ページ)。

算式の見取り図 — どの別表が、どこから呼ばれるか

12ある別表のうち、算式があるのは次の8つです。

算式が置かれている別表と、それを呼び出す規定
別表計算方法の名称呼び出す規定解説
2 補正加算の計算方法 第1章24〜32(各加算の定義)/第2章第3部1ロ・3(準用)/第3章第6節・第10節/別表6 新薬改定時加算
3 外国平均価格調整の計算方法 第1章34(定義)/第3章第11節 新薬
4 規格間調整の計算方法 第1章35(定義) 新薬
5 市場実勢価格加重平均値調整幅方式の計算方法 第1章36(定義)/第3章第1節(改定の原則)・第2節2(累積額の計算) 実勢価改定
6 市場拡大再算定対象品等の計算方法 第3章第5節1 再算定
7 効能変化再算定の計算方法 第3章第5節2 再算定
8 用法用量変化再算定の計算方法 第3章第5節3 再算定
12 費用対効果評価に基づく価格調整の計算方法 第3章第12節 費用対効果評価

※ 算式のない別表は、別表1(剤形区分)、別表9(最低薬価)、 別表10(革新的新薬薬価維持制度の対象企業の確認事項)、 別表11(後発品を製造販売する企業の評価)です。
※ 後発品の初収載価格(0.5掛け・0.4掛け)、G1ルールの引下げ率、 価格帯の集約といった単純な掛け算・平均は、別表でなく本文に直接書かれています。

出典:厚生労働省保険局長通知「薬価算定の基準について」(令和8年2月13日 保発0213第3号)別表2〜8、別表12。 算式は通知の記載に沿って表記を整えており、分数・指数の組版を本文中で読めるよう改めた箇所があります。 実務上の判断にあたっては、必ず通知本文の別表をご確認ください。

算式の適用順

各別表の「本規定の適用前の価格」は、第3章の第1節からその前の節までを順に適用して得た額で、 改定前の告示薬価そのものとは限りません(順序の全体 → 革新的新薬薬価維持制度)。 一方、「薬価改定前の薬価」は改定前の薬価そのものです。再算定の算式(別表6、別表7の3)とその下限(別表6・8)、 加算および外国平均価格調整の上限(第3章第10節・第11節の120/100)は、こちらを基準にします。 ただし第3章第2節・第3節の対象品目は、別表6の注により、累積額を控除した後の額を用います。

このページで扱っていないもの

算定額の端数処理(有効数字の桁数、円未満の扱い)は薬価算定基準ではなく、 薬価基準収載に係る事務連絡・記載要領の側に定められており、本サイトでは扱っていません。 薬剤料として請求される際の点数への丸めは診療報酬の側のルールです(→ 公定価格と、実際の流通価格)。

対数式の読み方 — 「売れるほど下がる」を1本の式で書く

別表2と別表6の log は、「基準の何倍になったか」をなだらかな曲線で率に変えるためだけのものです。

別表6 市場拡大再算定の骨格 薬価改定前の薬価 × { (0.9)log X ÷ log 2 + α } X は市場規模拡大率(= 年間販売額の合計額 ÷ 基準年間販売額)。 指数の log X ÷ log 2 は「Xは2の何乗か」を意味します。
(0.9)log X ÷ log 2 の値(α=0のとき)
市場規模拡大率 Xlog X ÷ log 2係数意味
2倍10.900基準の2倍で 10%引下げ
4倍20.8102倍になるごとに、さらに0.9を掛ける
8倍30.729同上
16倍40.656下がり方はしだいに緩やかになる

2倍になるごとに0.9倍。下限に当たったところで止まる

別表6の係数(α=0のとき)。横は市場規模拡大率X(対数目盛)、縦は改定前薬価に掛ける係数です。点線は算定値の下限です。

0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1倍 2倍 4倍 8倍 16倍 市場規模拡大率 X(対数目盛)→ ↑ 改定前薬価に掛ける係数 下限 85/100(原価計算方式以外) 下限 75/100(原価計算方式) 約2.9倍 約6.6倍 0.900 0.810 0.729 0.656 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1倍 2倍 4倍 8倍 16倍 市場規模拡大率 X → ↑ 改定前薬価に掛ける係数 下限 85/100(原価計算方式以外) 下限 75/100(原価計算方式) 約2.9倍 約6.6倍 0.900 0.810 0.729 0.656

原価計算方式以外は約2.9倍、原価計算方式は約6.6倍から先で、係数がそれ以上下がりません。

別表2の加算率(α)の 1.5log(X/50) ÷ log(25/50) も同じ形です。 こちらは分母が log(25/50)=log(0.5) と負の数なので、向きが逆になります。 X が基準(50億円)のときは指数が0で 1.50=1、 その半分(25億円)のときは指数が1で 1.5倍と、市場が小さいほど加算率を厚くする設計です。

補正加算の計算方法(別表2)

1 基本的考え方

別表2 1(1)(2) 加算額 = 算定値 × α
加算額 = 算定値 × (α1 + α2 + … ) 上が一つの補正加算に該当する場合、下が複数に該当する場合で、加算率は単純に足します(掛け合わせではありません)。

ただし原価計算方式の品目は、ここに開示度に応じた加算係数が掛かります。

原価計算方式の場合 加算額 = 算定値 × (α1 + α2 + … ) × 加算係数
開示度 = 製品総原価のうち薬価算定組織での開示が可能な額製品総原価
開示度 ≧ 80%加算係数 1.0
50% ≦ 開示度 < 80%加算係数 0.6
開示度 < 50%加算係数 0

開示度50%未満の係数は、令和4年度改定で 0.2 から 0 に引き下げられ、令和8年度改革でも見直されていません(→ 開示度をめぐる論点)。

2(1) 原則の加算率

別表2 2(1) α = A100 A = 当該新規収載品目に対して適用される率(%)。Aの範囲は加算の種類ごとに次のとおり定められています。
Aの範囲(別表2 2(1))
加算の種類Aの範囲(%)加算率αに直すと
画期性加算70 ≦ A ≦ 1200.70〜1.20
有用性加算(Ⅰ)35 ≦ A ≦ 600.35〜0.60
有用性加算(Ⅱ)5 ≦ A ≦ 300.05〜0.30
市場性加算(Ⅰ)10 ≦ A ≦ 200.10〜0.20
市場性加算(Ⅱ)A = 50.05
特定用途加算5 ≦ A ≦ 200.05〜0.20
小児加算5 ≦ A ≦ 200.05〜0.20
先駆加算10 ≦ A ≦ 200.10〜0.20
迅速導入加算5 ≦ A ≦ 100.05〜0.10

※ 希少疾病用医薬品の指定基準への該当性の内容に応じて、市場性加算(Ⅰ)のAは例外的に5を下限とすることがあります。

2(2)〜(5) 対数を使う加算率

次の4つの場面では、価格や市場規模に応じてAを目減り/増しさせる係数が掛かり、 形はどれも α = (A/100) × 1.5log(◯/基準) ÷ log(半分/基準) です。

(2)超高額な再生医療等製品 α = A100 × 1.5log(P ÷ 10,000,000) ÷ log(5,000,000 ÷ 10,000,000) (ただし、P>10,000,000) 年間販売額(収載時にあってはこの規定の適用前のピーク時予測売上高)が50億円を超える製品に限って適用され、 価格が高いほど加算率は小さくなります(向きが逆になる理由 → 対数式の読み方)。
  • A 当該再生医療等製品に対して適用される率(%)。下の(3)に該当する製品では、(3)で算出したαに100を乗じた値
  • P 補正加算前の価格
(3)条件・期限付承認を受けた再生医療等製品の特例(第3章第6節) α = A100 × 1.5log(X ÷ 20) ÷ log(10 ÷ 20) (ただし、0.5A/100 ≦ α ≦ 1.5A/100)
  • X 億円単位で示した、当該製品の同一組成既収載品群の薬価改定前の薬価を基に計算した年間販売額の合計額
(4)別表6で有用性加算(Ⅱ)を準用する場合(再算定時の加算) イ)内用薬及び外用薬 α = A100 × 1.5log(X ÷ 50) ÷ log(25 ÷ 50) (ただし、2.5/100 ≦ α ≦ 15/100) ロ)注射薬 α = A100 × 1.5log(X ÷ 20) ÷ log(10 ÷ 20) (ただし、2.5/100 ≦ α ≦ 15/100) A は当該市場拡大再算定対象品または持続可能性特例価格調整対象品に適用される率(%)で、この場面では 5 ≦ A ≦ 10 に限られ、 0.5A/100 ≦ α ≦ 1.5A/100 の枠もかかります。
(5)第3章第10節の改定時加算で有用性加算(Ⅱ)を準用する場合 イ)内用薬及び外用薬 α = A100 × 1.5log(X ÷ 50) ÷ log(25 ÷ 50) (ただし、2.5/100 ≦ α ≦ 15/100) ロ)注射薬 α = A100 × 1.5log(X ÷ 20) ÷ log(10 ÷ 20) (ただし、2.5/100 ≦ α ≦ 15/100) (4)と算式は同一で、Aが「当該既収載品に対して適用される率」に、Xが当該既収載品の同一組成既収載品群の年間販売額の合計額に読み替わります。 こちらも 0.5A/100 ≦ α ≦ 1.5A/100 の枠がかかります。

改定時加算には別に「加算後の価格 ≦ 改定前薬価 × 120/100」の上限が本文(第3章第10節)にあります。

外国平均価格調整の計算方法(別表3)

算定値が外国平均価格の3/4〜5/4の幅から外れたときに、外れた分を3分の1に縮める調整です。

1 算定値が外国平均価格の 5/4 を上回る場合(引下げ)13 × 算定値外国平均価格56 ) × 外国平均価格 (ただし、当該新規収載品の有効成分の含有量が、類似している外国の医薬品を上回る場合を除く)
2 算定値が外国平均価格の 3/4 を下回る場合(引上げ)13 × 算定値外国平均価格12 ) × 外国平均価格 (ただし、当該新規収載品の有効成分の含有量が、類似している外国の医薬品を下回る場合を除く) (ただし、算定値の2倍に相当する額を上回る場合には、当該額とする)

「3分の1に縮める」の意味

国内の算定結果を主とし、外れ値だけを引き寄せる式です。 1の式を展開すると 算定値/3 + 外国平均価格×5/6 です。 算定値がちょうど外国平均価格の5/4なら結果も同じで調整が起きず、 そこから上がった分は3分の1だけが価格に反映されます。

3 組成・剤形区分・製造販売業者が同一の複数品目が同時収載される場合 変化率 = 1又は2の算式により算定される額算定値 − 1 この変化率を、全ての新規収載品の数で相加平均して 薬価 = 算定値 × ( 1 + 変化率の相加平均値 ) 変化率は1・2に該当した品目だけで出します。規格ごとに調整の有無がばらついても、シリーズ全体を同じ率で動かすための規定です。

規格間調整の計算方法(別表4)

同じ薬の 5mg と 10mg で、価格を含有量に比例させると高用量規格が割高になりすぎます。 そこで類似薬の実際の規格間の価格差を対数の傾き(規格間比)として取り出し、新しい規格に当てはめます。

1 類似薬の規格間比を求める算式 規格間比 = log(Q2 ÷ Q1) ÷ log(Y2 ÷ Y1
  • Q1 汎用規格の類似薬のうち、年間販売量が最も多い既収載品の薬価
  • Q2 それと別の規格の類似薬(組成・剤形区分・製造販売業者が同一のものに限る)のうち、年間販売量が2番目のものの薬価
  • Y1 Q1 の品目の有効成分の含有量
  • Y2 Q2 の品目の有効成分の含有量
2 非汎用新規収載品の薬価(P2)を求める関係式 log(P2 ÷ P1) ÷ log(X2 ÷ X1) = 類似薬の規格間比
  • P1 汎用新規収載品または最類似薬の薬価 / P2 当該非汎用新規収載品の薬価
  • X1 P1 の品目の有効成分の含有量 / X2 当該非汎用新規収載品の有効成分の含有量

規格間比の値

規格間比は1なら含有量に比例、0なら同じ価格です。基準は次の歯止めを置いています。

  • 規格間比が複数あるときは、最も類似性が高い類似薬のものを用いる
  • 規格間比が1を超える場合、および規格間比がない場合は1とする
  • 内用薬で X2>X1(X2が通常最大用量を超える用量に対応する場合に限る)のときは、最も類似性が高い規格間比が 0.5850 を超える場合および規格間比がない場合は 0.5850 とする
  • 製剤上の工夫をすることなく投与期間の延長のみを目的として含有量を増やした製剤には、規格間比の上限を 0.5850 とする

※ 0.5850 は、含有量を2倍にしたときに価格が1.5倍になる傾き(log 1.5 ÷ log 2 ≒ 0.585)で、 「1日ぶんをまとめただけの高用量規格で価格を稼がせない」ための上限です。

規格間比は、含有量の比を薬価の比に移す傾き

横は非汎用規格と汎用規格の含有量の比、縦は薬価の比です。規格間比が1なら含有量に比例し、0なら含有量が変わっても同じ価格です。実際の値はその間(薄く塗った範囲)に入ります。

0倍 1倍 2倍 3倍 4倍 1倍 2倍 3倍 4倍 含有量の比(X₂ ÷ X₁)→ ↑ 薬価の比(P₂ ÷ P₁) 含有量2倍で1.5倍 1 含有量に比例 0.585 2倍で1.5倍 0 同じ価格 0倍 1倍 2倍 3倍 4倍 1倍 2倍 3倍 4倍 含有量の比(X₂ ÷ X₁)→ ↑ 薬価の比(P₂ ÷ P₁) 含有量2倍で1.5倍 1 含有量に比例 0.585 2倍で1.5倍 0 同じ価格

市場実勢価格加重平均値調整幅方式の計算方法(別表5)

毎年の改定の本体です。薬価制度でもっとも多くの品目に当たる算式でありながら、別表はわずか1行です。

別表5 〔 税抜き市場実勢価格の加重平均値 〕 × { 1 + (1 + 地方消費税率) × 消費税率 } + 調整幅
  • 加重平均値 当該既収載品の、保険医療機関等における薬価算定単位あたりの平均的購入価格
  • 消費税率 消費税法(昭和63年法律第108号)第29条に定める率
  • 地方消費税率 地方税法(昭和25年法律第226号)第72条の83に定める率
  • 調整幅 医薬品流通の安定のための調整幅とし、薬価改定前の薬価の2/100に相当する額

消費税の項がふくらんで見える理由

地方消費税は「消費税額の◯%」として課される付加税なので、単純に税率を足すことができません。 現行の税率(消費税7.8%・地方消費税22/78)を入れると {1+(1+22/78)×0.078}=1.10、つまり合計10%になります。 式が二段構えなのは、法律上の建て付けをそのまま書いているためで、実質は税抜価格を税込みに直しているだけです。

調整幅の 2% は改定前の薬価に掛かります。実勢価格そのものではないため、 乖離が小さい品目ほど「下がらない」効果が相対的に大きく出ます(→ 乖離率と改定の計算)。

市場拡大再算定対象品等の計算方法(別表6)

収載時の想定を超えて売れた品目を下げる算式です(読み方は → 対数式の読み方)。

X(市場規模拡大率) X = 同一組成既収載品群の薬価改定前の薬価を基に計算した年間販売額の合計額当該同一組成既収載品群の基準年間販売額

1 市場拡大再算定対象品

原則 薬価改定前の薬価 × { (0.9)log X ÷ log 2 + α } 原価計算方式により算定され、年間販売額の合計額が100億円超150億円以下、かつ基準年間販売額の10倍以上となる場合 薬価改定前の薬価 × { (0.9)log X ÷ log 10 + α } αは別表2(4)により算定される補正加算率です(該当しなければ0)。
算定値の下限(これを下回る場合は下限額とする)
算定方式下限
原価計算方式により算定した対象品薬価改定前の薬価の 75/100
原価計算方式以外の方式により算定した対象品薬価改定前の薬価の 85/100

2 持続可能性特例価格調整対象品(SPA-SSS)

(1)年間販売額 1,000億円超1,500億円以下、かつ基準年間販売額の1.5倍以上 薬価改定前の薬価 × { (0.9)log X ÷ log 1.5 + α } 下限:薬価改定前の薬価の 75/100
(2)年間販売額 1,500億円超、かつ基準年間販売額の1.3倍以上 薬価改定前の薬価 × { (0.9)log X ÷ log 1.3 + α } 下限:薬価改定前の薬価の 50/100 (2)については、薬価収載時に年間販売額が1,500億円を超えると見込まれた既収載品またはその薬理作用類似薬であって、 年間販売額の合計額が3,000億円を超え、かつ基準年間販売額の10倍以上となる場合は、 下限が「50/100」から「1/3」に読み替えられます。

※ 対数の底が 2 → 1.5 → 1.3 と小さくなるほど同じXでも引下げが急になり、 売上規模が大きい品目ほどわずかな伸びで大きく下がります(→ 市場拡大再算定・SPA-SSS)。

3 過去に再算定を受けた品目の特例

前回の再算定で下限に張り付いた品目は、算式の値より高い薬価で止まり、下げきれなかった分が残っています。 次の再算定ではこの分を持ち越すため、前回の市場拡大が下限の水準をどれだけ超えていたかに応じてXを大きく補正し、今回の引下げに上乗せします。

別表6 3 再算定後薬価の計算方法で用いる X = 年間販売額の合計額基準年間販売額 × 調整係数
直近の再算定の区分に応じた調整係数
直近の再算定下限値調整係数
年間販売額150億円超、かつ基準年間販売額の2倍以上の再算定(原価計算方式以外) 改定前薬価の 85/100 0.85 ÷ {(0.9)log Xp ÷ log 2 + αp
同上(原価計算方式) 改定前薬価の 75/100 0.75 ÷ {(0.9)log Xp ÷ log 2 + αp
年間販売額100億円超150億円以下、かつ基準年間販売額の10倍以上の再算定(原価計算方式) 改定前薬価の 75/100 0.75 ÷ {(0.9)log Xp ÷ log 10 + αp
年間販売額1,000億円超1,500億円以下、かつ基準年間販売額の1.5倍以上の持続可能性特例価格調整 改定前薬価の 75/100 0.75 ÷ {(0.9)log Xp ÷ log 1.5 + αp
年間販売額1,500億円超、かつ基準年間販売額の1.3倍以上の持続可能性特例価格調整 改定前薬価の 50/100 0.50 ÷ {(0.9)log Xp ÷ log 1.3 + αp
同上のうち、薬価収載時に年間販売額が1,500億円を超えると見込まれた既収載品またはその薬理作用類似薬であって、年間販売額の合計額が3,000億円を超え、かつ基準年間販売額の10倍以上となる場合 改定前薬価の 1/3 0.33 ÷ {(0.9)log Xp ÷ log 1.3 + αp
  • Xp 前回の市場拡大再算定または持続可能性特例価格調整の際の市場規模拡大率
  • αp 前回の市場拡大再算定または持続可能性特例価格調整の際の補正加算率

※ この調整係数は、前回の下限値を、前回の算式が本来出していた係数(分母)で割った値です。 下限で止まった分だけ1より大きくなり、次のXが押し上げられて引下げが大きくなります。 算式では▲23%(係数0.77)となる拡大が▲15%で止められた品目なら、調整係数は0.85÷0.77≒1.1で、 2回目に2倍の拡大があったときの引下げは▲10.0%から▲11.3%に広がります(令和2年度薬価制度改革の概要)。
※ 第3章第2節(薬価維持期間経過後の改定)または第3節の対象品目では、 ここでいう「薬価改定前の薬価」は累積額を控除した後の額を指します(Xの算式を除く)。

効能変化再算定の計算方法(別表7)

収載時の前提が変わったときに価格を直す規定です(制度は → 08 再算定)。

1 主たる効能変化品

従前の効能と変更後の効能を、それぞれの領域の市場規模で重みづけした一日薬価を作り、 同じく重みづけした一日通常最大単位数量で割って、1単位あたりの価格に戻します。

別表7 1(2) A × XX+Y + B × YX+Y P × XX+Y + Q × YX+Y
  • A 当該既収載品の従前の主たる効能に係る一日薬価(効能変化再算定の適用前の額を基に計算)
  • B 効能変更等の後の最類似薬の当該効能に係る一日薬価(最類似薬の薬価改定後の薬価を基に計算。最類似薬が複数のときは年間販売量で加重平均)
  • P 従前の主たる効能に係る一日通常最大単位数量 / Q 変更後の主たる効能に係る一日通常最大単位数量
  • X 従前の主たる効能に係る薬理作用類似薬(組成が異なるものに限る)の年間販売額の合計額
  • Y 変更後の主たる効能に係る薬理作用類似薬(同上)の年間販売額の合計額

※ 次のいずれかに当たる場合は効能変化再算定を適用しません。 (イ)AがBより大きく、この算式による額が適用前の額を上回るとき。 (ロ)AがBより小さく、この算式による額が適用前の額を下回るとき。 引下げのつもりが引上げになる(またはその逆)ケースを排除する規定です。
※ 年間販売額は薬価改定後の薬価を基に計算します。

2 効能変化再算定の特例

別表7 2 C × MM+N + D × NM+N P × MM+N + Q × NM+N
  • C 従前の主たる効能に係る一日薬価 / D 参照薬の一日薬価(複数のときは年間販売量で加重平均)
  • M 従前の主たる効能に係る類似薬(当該既収載品と組成が異なるものに限る)および当該既収載品の年間販売額の合計額(当該既収載品を含めるのは、直近の薬価調査後に当該効能変更等が行われた場合に限る。組成・剤形区分・製造販売業者が同一の非汎用規格の既収載品を含む)
  • N 参照薬の年間販売額の合計額

3 主たる効能変化品の類似薬の価格調整

別表7 3(2) 当該既収載品の薬価改定前の薬価 × 当該主たる効能変化品の1又は2の算式により算定される額当該主たる効能変化品の薬価改定前の薬価 主たる効能変化品の価格の変化を、組成と投与形態が同じで同様の効能変更等があった品目にそのまま掛ける規定です。 主たる効能変化品が1(1)に該当して再算定を適用しない場合は、類似薬の価格調整も行いません。

用法用量変化再算定の計算方法(別表8)

1 原則 本規定の適用前の価格 × 従前の一日通常最大単位数量(主たる効能又は効果に係るもの)変更後の一日通常最大単位数量(主たる効能又は効果に係るもの) 1日に使う量が2倍になれば1単位あたりの価格を半分にして、一日薬価を一定に保つ反比例です。
2 特例 本規定の適用前の価格 × 当該既収載品の使用量変化率 使用量変化率 = A × BC × D (算定値が薬価改定前の薬価の 75/100 を下回る場合は、当該額とする)
  • A 保険適用上の取扱い変更の投与期間 / B 変更の推計患者数
  • C 変更の投与期間 / D 変更の推計患者数

費用対効果評価に基づく価格調整の計算方法(別表12)

2(1) 類似薬効比較方式等により算定された医薬品

別表12 2(1) 価格調整後の価格 = 価格調整前の価格 − 価格調整対象 × ( 1 − β ) β(価格調整係数)=1.0 なら括弧が0になり価格は動きません。β<1 なら引下げ、β>1(1.25・1.5)なら括弧が負になり引上げに働きます(価格調整対象の範囲と係数の水準、複数の分析対象集団を持つ品目の加重平均引上げの上限費用対効果評価)。

2(2) 原価計算方式により算定された医薬品(開示度が低いものに限る)

別表12 2(2) 価格調整後の価格 = 価格調整前の価格 − 有用性系加算部分 ×(1 − γ) − 営業利益部分 ×(1 − θ) 開示度50%未満の品目は営業利益部分が価格調整の対象です。有用性系加算部分も対象になるのは、令和4年3月以前に収載され加算の対象でもある品目だけです。γの値はβの表と同じです。
営業利益部分に掛かる価格調整係数(θ)
ICER(万円/QALY)総合的評価で
配慮が必要とされた品目
θ
500万円未満750万円未満1.0
500万円以上 750万円未満750万円以上 1,125万円未満0.83
750万円以上 1,000万円未満1,125万円以上 1,500万円未満0.67
1,000万円以上1,500万円以上0.5

※ ICERが算出できない場合は、効果が同等以上で費用が削減されるときと効果・費用ともに同等のとき θ=1.0、効果が同等で費用が増加するとき θ=0.5。 分析期間の超過(妥当な理由がない場合)、データ非開示、企業都合の評価中止などでは θ=0.5。
※ θの下限が0.5にとどまるのは、営業利益部分の引下げがβ(下限0.1)ほど効きすぎないようにするためです。

本サイトの位置づけ

制度の全体像を理解するための教育・解説目的の資料です。 通知本文には数多くの例外・読替え・経過措置があり、本サイトはその主要部分を要約したものにすぎません。 実務上の判断にあたっては、必ず通知本文および別表、関連する事務連絡・Q&Aをご確認ください。